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ブラック・ミラー『ずっと側にいて』感想

『ずっと側にいて』

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©Black Mirror/Zeppotron/House of Tomorrow/Netflix

 

あらすじ

恋人のアッシュを事故で失い悲しみに暮れるマーサは、知り合いにあるソフトを勧められる。

それは、生前の言動などをデータとして取り込ませることで、死者を再現したAIと会話できるというものだった。

最初は渋っていたマーサだったが、すぐにソフトに夢中になり、偽物のアッシュと四六時中通話するようになる。

やがて、三次元でもアッシュを再現できることを知ったマーサは、その機能を使い、アッシュそっくりのロボットと生活するようになるが、人間ではない故のほころびが目につくようになってゆく。

 

感想

いくら高性能なAIでも、結局は機械。

喧嘩をして「出てって!」と言われたら出ていこうとするし、罵声を浴びせても返してこない。

彼女がそうして欲しいと言ったことを、その通りにするだけ。

嫌気がさしたマーサはアッシュに崖から飛び降りるよう命じますが、躊躇なくそれに従おうとする彼の姿も受け入れられず、泣いて拒否するよう言います。

泣き出す彼を見たマーサはまた気持ちが変わり、その後もアッシュの偽物と暮らし続けるのでした。

悲しいお話ですね。

マーサがアッシュを破壊しなかったのは、なんだかんだで部分的には本物を完璧に再現している彼を手にかけることができなかったというのもあるだろうし、いつか完全な本物になる日をちょっとだけ期待していたのかなあ。

もしくは逆に、これはこういうものだと割り切ったのかもしれません。

ラストの数年後のアッシュは独房のような簡素な屋根裏に置かれていましたが、結局このソフトは、そうやって「たまに取り出せる思い出の具現化」として扱うのが一番なのかも。

古い写真やビデオみたいに。

これといって特筆すべき点はありませんでしたが、しっとりとした空気と不気味さがうまく調和した良作でした。

 

評価:☆☆☆(5点満点)