『フラッシュ』シーズン5感想・評価|ソーンの陰謀にゾクゾク!
前シーズンとは対照的にタイムトラベルががっつり関わるシーズンで、その活かし方が面白く、前評判通り秀逸なシーズンでした。
新レギュラーのノラはかなり人を選ぶキャラクターだと思いましたが、僕は嫌いではありませんでした。
©The Flash/DC Entertainment/Warner Bros. Television/Berlanti Productions
あらすじ
物語は前シーズンのラストから直接繋がります。
シンカーが地球に衝突させようとした衛星をフラッシュと共に破壊したのは、未来から来たフラッシュの娘・エクセスことノラ・ウェスト・アレンでした。
未来の世界ではフラッシュ/バリー・アレンはすでに亡くなっており、ノラはバリーにどうしても会いたくてやってきたのでした。
ところが、彼女の登場が時間軸に影響を与え、未来で現れるはずのヴィラン「シカーダ」の出現が早まってしまいます。
シカーダ以外にも、墜落した衛星の破片から新たなメタヒューマンたちとメタテクノロジーが生まれていたことがわかります。
前シーズンについてはこちら↓
※ネタバレ注意
感想
前シーズンはバリーとラルフのダブル主人公のような構成でしたが、今シーズンはバリーとノラのダブル主人公でした。
生まれた時にはすでに父が亡くなっており、父から遺伝した能力も母によって最近まで抑え込まれ、隠されていたという不憫な生い立ちを持つ彼女が、この時代のバリーやアイリスと衝突し、和解し、家族として愛を育むというハートフルなストーリーが見所です。
バリーとアイリスにとっては、つい先日結婚したばかりでいきなりの子育てですが、めちゃくちゃ真っ当に「親」をしていて二人ともすごいなあと思いました。
ノラのキャラクター自体はかなり賛否両論を呼びそうなものでした。
子供といってももう就職してる年齢なのに、ちょっとわがまますぎるかな?
未来でのことがあるとはいえ、まだ何もしていない現代のアイリスに冷たく当たったり、バリーへのコンプレックスを爆発させたり。
彼女なりに頑張ろうとして空回りする姿に愛嬌を感じられるかどうかで評価が変わってきそうです。
僕はまあ、嫌いではありませんでした。
ラストで彼女が消えてしまう(未来へ帰るのではなく消滅)という悲劇的な展開も普通に悲しかったです。
しかし、ノラ登場の余波でラルフの見せ場がかなり減ってしまったのが個人的には残念でした。
たしかに彼のヒーローとしての成長は前シーズンで描き切った感がありますが、ここまで急速に出番が減るとは。
魅せるところは魅せてくれましたが、自分としてはもう一人の主人公枠を継続して務めて欲しかったです。
そういえば、シスコの出番も明らかに減っているのが気になりました。
能力も自分の意思で消してしまったし、ひょっとして退場が近いんでしょうか?
もしそうなったらかなりショックです。
ジョーも途中いなくなっていましたが、こちらは『レジェンド・オブ・トゥモロー』への出張っぽいのでひとまず安心です。
今回のメインヴィランはオーリン・ドワイヤーことシカーダ。
メタヒューマンの力を無効化してしまう短剣を操る能力を持つ、なかなかの強敵です。
名前と衣装と目だけ見えている時の顔つきからして「ひょっとして日本人?」と最初思いましたが別にそんなことはなく、普通にセントラル・シティの住民でした。
衛星の破片が衝突して姪っ子が昏睡状態となり、自身もメタヒューマンとなった彼は、その元凶がメタヒューマンの存在にあると感じ、自分も含めた全てのメタヒューマンを危険因子として排除しようとします。
『フラッシュ』は明るい作風のわりにメインヴィランは生粋のサイコパスたちが占めていますが、シカーダは家族愛が行動原理にある男で新鮮でした。
その方向性をそのまま煮詰めてもよかったと思いますが、ドワイヤーは途中で改心し、メインヴィランは移り変わります。
ドワイヤーの姪・グレイス自身が、大人になった姿で未来からやってきて、さらなる能力と狂気で暴れ回るのです。
僕としてはこのグレイスがノラなんかよりも全然苦手でした。
回想では叔父(伯父?)のドワイヤーを諭す純粋で大人びた少女のように描かれていたのに、実は彼以上に理不尽で一方的な思考をする子供で、そのまま成長したっていう位置付けがもうホラーだし、改心したドワイヤーを自ら手にかけてしまうという行動にもドン引き。
きっちり倒されてよかったです。
さて今回、シスコとケイトリンがメタヒューマンの治療薬を開発し、「治療を受けるかどうかは本人の意思を尊重する」というテーマが重要になります。
でも、シカーダレベルの極悪人を治療するのにすら本人の意思が必要で、説得しなければならないという考え方にはちょっと納得いきませんでした。
たしかに人権の観点から考えると、もはや当人の一部となっている能力を問答無用で消し去ることは残酷だと思いますが、状況によってはやむを得ないでしょうに。
衛星の墜落を防ぐために破壊して二次災害を出すのはアリなのに、犠牲者が出ることを防ぐために殺人鬼の能力を奪うのはナシなの? っていう。
ちょっと前のノリなら、
「ヤバい能力で人々を傷つけるメタヒューマンが現れたぞー!」
→「能力を奪ってやったぜ! 一件落着!」
みたいな展開があっても全然違和感なかったでしょうに、ここにきて作品の倫理観がヌルッと変わってしまうのがちょっと気持ち悪かったです。
今後色々な兼ね合いが大変そう。
メインヴィランの話に戻りますが、グレイスもラスボスではありません。
今回のラスボスはフラッシュ最大の宿敵、リバース・フラッシュ/イオバード・ソーンです。
未来で投獄されていたソーンは、レクター博士よろしくノラに助言を与え、自らの能力を抑えているシカーダの短剣を過去で消滅させることで自由の身となるのでした。
ワクワクする展開でしたし、その後のチーム・フラッシュとの全面対決も熱かったです。
シスコがポータルを開く能力でソーンの移動先を固定し、出てきたところを他のヒーローが叩くっていう戦術が超かっこいい!
でも、これももう見られなくなるんだよな……。
今回、ソーンの素顔は一度も登場せず、終始ウェルズの顔のままでした。
個人的にソーンの素顔はちょっと小物臭がするので、ウェルズ顔のままでよかったと思いました。
バリーやノラへの愛情入り混じる感情も、より不気味さが増していてよかったです。
今シーズンの本物のウェルズ枠、探偵のシャーローク・ウェルズも素晴らしいキャラクターでした。
ホームズがモデルなのにフランス人っていう意味不明な設定もよかったし、科学ではなく純粋な推理力・洞察力で活躍するというポジションも新しくてよかったです。
また登場して欲しいな。
まとめと補足
やはりソーンが出てくると全体が緊張感で引き締まるし、シリーズ通してのストーリーラインが見えてくるので面白さが倍増しますね。
また、過去に戻る話でリバース・フラッシュ、ズーム、サビター、シンカーの歴代ヴィランが勢揃いしたのにも震えました。
ズームが本編よりも前にタイムレイスに捕まっていた気がしましたがあれは今後どう関係してくるんでしょうか。
シスコとケイトリンの親友以上恋人未満の関係が、いつも以上に深く描かれていたのもよかったです。
前シーズンで自らの別人格であるキラーフロストと和解したケイトリンですが、今シーズンでは父親を失ってしまい、なかなか全てはうまくいかないって感じでかわいそうでした。
もっとかわいそうだったのがキング・シャーク。
前々から、自分の意思と関係なく理性を失っているとしたらかわいそうすぎるだろこの人と思っていましたが、「元から悪人」と思い込むことで自分の中で中和していました。
でも、いざ人間に戻ると普通に超いい奴じゃないですか。
しかも、街を守るために自ら再びキング・シャークになり、そのまま戻れなくなるって……。
あまりにも不憫なので、いつの日かまた人間に戻してあげて欲しいです。
最後に、フラッシュの新コスチュームがちょっと好みじゃなかったです。
それと、バットマン関係の伏線がいつも以上に多い気がしましたが、もしかしてそろそろ……?
評価:☆☆☆☆(5点満点)