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『アロー』シーズン6感想・評価|オリバーかわいそうじゃない?

アメコミドラマブームの火付け役にして「アローバース」の筆頭である『アロー』もついにシーズン6です(すでに7も放送してるけど)。

前シーズンはかなり原点回帰を意識している節がありましたが、今作もその傾向が強いと感じました。

そろそろネタ切れかな? と心配していましたが面白かったです。

 

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©Arrow/DC Entertainment/Warner Bros. Television/Berlanti Productions

 

あらすじ

前シーズンは、プロメテウス/エイドリアン・チェイスによって、リアンユーに残された仲間たちが大爆発に巻き込まれるというクリフハンガーで終わりました。

今シーズンでは、その爆発でテアが意識不明の重体となり、サマンサが亡くなったことが明かされます。

母親がいなくなり独りぼっちとなったウィリアムは、サマンサの遺言により、血縁上の父親であるオリバーに育てられることになります。

一方、スターシティには超一流のサイバーテロリストであるケイデン・ジェームズの脅威が迫っていました。

オリバーは、初めての子育てとヒーロー活動を両立させようとしながら、街を守るために戦います。

 

※ネタバレ注意

 

感想

前シーズンが、復讐鬼プロメテウスによってグリーンアローオリバー・クイーンの内面の闇が暴かれるお話だったのに対して、今シーズンはオリバーの信頼関係の脆さが紐解かれるお話でした。

仲間によって信用に優劣を付け、監視するなどしたオリバーの元から、比較的新米ヒーローであるカーティス、レネ、ダイナが離反し、さらには意見の食い違いでチームアローと戦うというヒーロー同士の内紛が見所です。

警告したとはいえ、オリバーがレネを生死を彷徨う重体にまで追い込んでしまうという甘くない展開が本作らしくてよかったです。

まあ回復するし和解するんですけど。

レネは小粋なジョークを飛ばしたり、オリバーとフェリシティに素晴らしい祝福の言葉を送ったりしてかなり好きなキャラになりかけていましたが、オリバーと敵対してからはちょっと気に食わなかったです。

監視されていたのが不満なのはわかるけど、実際、娘と暮らすためにオリバーの秘密を売っていたのに、開き直った態度でオリバーばかり責めてチームを抜けるってのは印象悪い。

まず謝りなさいよ。

その後、レネに賛同した新人三人組だけでなく、ディグルまでオリバーに怒り、彼の元を離れてしまいますが、その時の言い分もちょっと納得できませんでした。

整理すると、

 

・市長になり、父親になって、さらに一度は引退を決意したヒーローにも結局復帰したオリバーは、手を広げすぎ

 

・そのせいで色々なことがおろそかになり、元来の自分のやり方だけを突き通す側面が再び表面化して、チームの崩壊を招いた

 

・結果、街を悪人の手に渡すこととなってしまった

 

ということでいいんでしょうか?

要するに、「街を守ると決めたのであれば全力で守れ」「下手な妥協で事態を悪化させるな」という主張なのだと思われますが、言葉の選び方が、「街を守ることこそがあんたの使命だ」「人生を捨てろ。妥協なんて一切するな」というニュアンスにも聞こえて、「えー、なんだこいつ」と思ってしまいました。

まあ明らかにディグルの方が正論を言っているという演出だったので、そんなニュアンスに聞こえたのは気のせいだとは思いますけど。

ただそれを抜きにしても、今シーズンではディグルも色々と致命的なミスをやらかしているので、自分のこと棚に上げてずいぶんキツい言い方するなあと思ってしまいました。

オリバーに「君も俺の判断をただ見てただろ」と言われて「変わることを願ってた」と返すのも言い訳になってないし。

ディグル好きなんですが、今回はモヤモヤするなあ。

さて、今回のラスボスは、サイバーテロリストのケイデン・ジェームズ……ではなく、マフィアのリカルド・ディアス

ディアスはケイデンの下で働いていると見せかけて彼を利用し、公人を大量に買収・恐喝して街を我が物とします。

ケイデンもなかなか魅力的なヴィランでしたが、ディアスは個人的には大好きですね。

特殊能力は一切持たないし、戦闘技術も並みだが、汚職と腐敗をはびこらせる達人で精神的な怪物というのが最高

伝説の暗殺部隊の頭領や魔法使いの後で、こういう現実的な怖さを持つ人間がメインヴィランを務め、「これまでの敵とは違う」と何度も言及されるというのもたまらなくツボです

本シーズンでは生き残った彼ですが、今後も格を保って再登場して欲しいです。

他のキャラクターについて。

デスストローク/スレイド・ウィルソンが、シーズン2での暴挙が薬による狂気のせいだったことが明確になり、今回は完全に味方として活躍したのが嬉しかったです。

オリバーと袂を分かってから長い年月を経て、再び背中を預けながら共闘する日が来たと考えると熱い……!

テアは一番好きなキャラなので、意識を取り戻した後、リーグ関係の任務で完全にレギュラーを離れてしまったのが寂しかったです。

ランス警部の死は、悲しかったですがいい落としどころだったと思います。

彼が命を賭してアース2のローレルを改心させたことにもグッときましたが、何より、オリバーやテアがランスをもう一人の父親として慕っていたことに感動しました。

 

まとめと補足

前シーズンと同じく、よく言えばリアル路線、悪く言えば地味な方向性でしたが、それが『アロー』の色を出していてよかったと思います。

空気感としては、シーズン1→2→5→6が本来の流れなのではないかとすら感じました。

SF路線も大好きなのでまた見たいですけど。

シーズン「6」なので、今回から5年間の過去編がなくなり、見せ方が変わるのもだいぶ痛手になるかと思いましたが、そこまで気になりませんでした。

まだまだ面白いコンテンツです。

ただ、シリーズの終わりは確実に近づいている感じがするのでちょっとせつないです。

(『アロー』はシーズン8で終了が決定しています。)

あ、あとアローバースについにブルース・ウェインが存在していることが判明したのが大興奮ポイントでした。

 

評価:☆☆☆☆(5点満点)

 

 『フラッシュ』についてはこちら↓

lovecda.hatenablog.com