Netflix『アウトサイダー』感想・評価|ジャレッド・レトの日本観光
『アウトサイダー』
©The Outsider/Linson Entertainment/Waypoint Entertainment/Netflix
概要
監督 マルティン・サンフリート
キャスト
ジャレッド・レト 浅野忠信 椎名桔平
忽那汐里 大森南朋 田中泯
Netflixオリジナル作品
あらすじ
刑務所で捕虜となっていた米軍兵士ニックは、そこで出会った清と助け合って、出所することに成功する。
ニックは清が所属する組織の一員となり、日本の裏社会と関わっていく。
※この記事は2018年3月31日に旧ブログに投稿したエントリーの再掲です。
感想
外国映画にしては、日本の描写にほとんど違和感がないのが心地よかったです。
サイバーパンクで忍者アイランドな「謎日本」もそれはそれで嫌いではないんですけど、今回はそういうのはほぼナシです。
日本人の日本語も完璧です。
ただ、舞台が終戦直後の大阪なので、時代考証とか関西弁のイントネーションとかを掘り下げると、間違っている部分もあるのかもしれません。
僕は気になりませんでした。
あと、画がすごく美しい。
青のフィルター入れてる? のかどうかよくわかりませんけど、暗めで落ち着いたトーンが、過度にオリエンタルだったりエスニックだったりしない、「山の国・日本」ならではの風景を際立たせています。
外国人から見たら「異国情緒」、日本人から見たら「古き良き日本」を感じられる画作りをピンポイントで当ててくるのはすごいと思いました。
さて、ストーリーですが、完全に文化解説です。
YAKUZAというものの性質(ひいては日本人の性質)を、かつて日本と敵対した外国人(アウトサイダー)が学び、慣れ、同化する。
基本的にはそれだけです。
また、『アウトレイジ』シリーズのように新たな切り口から触れるというわけでもなく、しごくプレーンな「フィクションの任侠」が描かれるので、外国人が鑑賞するならわかりませんが、日本人がこの作品に独自の意義を発見するのはちょっと困難だと思います。
「同化する文化の内容」ではなく「同化することそのもの」に目を向けてみても、どうにも既視感が強い気がします。
『オンリー・ゴッド』みたいに、異国が舞台であることとは別に、主人公にわかりやすい個人的なストーリーラインがあった方が、よかったのかな。
まあ僕が気づいていないだけで、もうちょっと深い見方ができるのかもしれませんが……。
しかし画が綺麗だと、画そのものを楽しめるってのはあると思います。
役者さんたちの繊細で自然な演技は、ストーリーを横に置いておいても、しみじみと楽しめました。
椎名桔平と浅野忠信が兄弟分というだけでも、満足です。
評価:☆☆(5点満点)