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主役はダスティン『ストレンジャー・シングス3』ネタバレ感想・評価

1話と2話については個別の記事で書きましたが、なんだかんだで一気に視聴してしまったので、感想もシーズン全体でまとめようと思います。

あしからず。

さて、Netflix最大のコンテンツともいえる本作もついにシーズン3。

今回もよかったですよ!

いつものようにどこかノスタルジックな王道アドベンチャーで、最後までワクワクしながら楽しめました。

でも、ちょっとだけ危惧していた通り、人を選ぶシーズンでもあったかなと思います。

以下、ネタバレ有のあらすじと感想・評価です。

 

ストレンジャー・シングス 未知の世界3』

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©Stranger Things/21 Laps Entertainment/Monkey Massacre/Netflix

 

概要・登場人物の軽い紹介はこちら↓

lovecda.hatenablog.com

 

あらすじ・感想

 

全体の流れ

1984年6月。

エルによって裏側の世界と繋がるゲートが閉じられ、平和が戻ったホーキンスでは、大型のショッピング・モールが開店し、連日にぎわいを見せていました。

ある日、そのモールで停電が発生し、それ以降、再び様々な怪現象が起こるようになります。

新生活を送っていたおなじみの登場人物たちは、それぞれのやり方で怪現象の調査を開始します。

その結果、モールの地下に潜伏しているソ連軍が、閉じられたゲートをこじ開けようとしている影響で、マインド・フレイヤーが再びこの世界に浸出しようとしていることが判明し、全員がそれを阻止しようと奮闘します。

結末については後述。

 

それぞれの動向

群像劇であるこのシリーズでは、いくつかのパートに分かれてストーリーが進み、クライマックスで全員集合するという流れがお約束のようになっていますが、本作でもその流れが踏襲されていました。

以下、登場人物それぞれの新生活、及び彼らが直面した不可思議な物事たち(ストレンジャー・シングス)の大まかなまとめと感想です。

 

ジョイス、ホッパー、マレー

前作でジョイスといい雰囲気になっていたホッパーは彼女をデートに誘いますが、磁石が急に磁力を失う怪現象を目にしたジョイスはデートの約束をすっぽかし、科学に詳しいクラーク先生に意見を求めにいってしまいます。

街のどこかに巨大な機械が存在することと、再び危険が迫っていることを察したジョイスは、怒り心頭のホッパーを巻き込んで調査を開始します。

刺客に襲われたり、市長が陰謀に絡んでいることが判明したりと、どんどんキナ臭さが増していく中、二人は何かを知っている謎のロシア人・アレクセイの身柄を拘束することに成功します。

途中から、ロシア語を話せるマレーも合流します。

 

感想

ジョイスに振り回されっぱなしで、ホッパーがちょっとかわいそうでした。

何度も超常現象を目にしておきながら未だにジョイスの不安を考えすぎだというホッパーのスカリー体質もたいがいですけど(笑)

 

 

このパートは人間VS人間のアクションが非常に多く、新鮮でした。

基本コンセプトはオカルティックなホラーのはずなのに、一方で、ターミネーターみたいな刺客とバシバシ殴り合うというのが面白い。

監督たちの少年時代のロマンを全部詰め込んじゃいましたって感じですが、悪い意味での違和感がなく、むしろ作品の懐の深さを感じられてよかったです。

あと、やっぱりマレーのキャラは最高ですね!

マイクたち四人組の誰かが「何かを間違ったらこうなっちゃいますよ」みたいな小汚いギークのおっさんなのに、相変わらず超有能。

そして、前シーズンで内気な若者のジョナサンとナンシーをグイグイくっつけたのと同じノリで、自分より恐らく年上のホッパーとジョイスをグイグイくっつけようとしちゃうデリカシーのなさと視聴者の代弁者っぷりが痛快。

この人は世界が終わっても死ななさそう。

 

エル、マックス、ビリー、

マイク、ウィル、ルーカス

ついにマイクと結ばれたエルは、彼と毎日くっついている現状をホッパーから問題視されます。

ホッパーから脅しをかけられたマイクが嘘をついてデートを取りやめ、エルと仲良しになったマックスがそのことを非難した結果、エルはマイクに別れると宣言してしまいます。

その後も彼女たちのことばかり話しているマイクとルーカスに苛立ちを募らせたウィルは、二人に怒りをぶつけ、もう昔のような仲良し四人組の日々が戻ってこないことに心を痛めます。

一方、マックスの兄・ビリーは相変わらずの不良っぷりでオラついていましたが、マインド・フレイヤーにとり憑かれてしまいます。

裏側の世界の先兵となったビリーは、マインド・フレイヤーの手先となる人間を増やしていき、彼の不審な様子を超能力で垣間見たエルは、マックスと共にビリーを追跡します。

ウィルがマインド・フレイヤーの存在を感知し、マイクたちもエルたちと合流して、ビリーにあるテストを仕掛けます。

 

感想

エルとマイクのほろ苦い対立については、個人的に、ちょっとマイクが悪者にされすぎじゃない? と思いました。

マイクを通して女性軽視を批判したいのはわかるし、意義があることだとは思いますが、ちょっと釣り合いがとれていないような。

エルがマイクだけで世界を完結させてしまうような関係性はたしかに健全でない感じがしますが、それはマイクが意図してそうしたわけじゃないし。

フラれた後のマイクの女性陣への悪口だって、本人たちがいない場所での愚痴をエルが勝手に覗いたわけだし。

それなのに、マイクが軽い一言でフラれて傷つけられた上で、「男なんてこんな風にあしらえばいいの」みたいな扱いを受けるのがちょっと納得いかない……。

まあ、ホッパーに脅されたからとはいえ、エルに嘘をついたことが僕が思う以上に決定打だったのかもしれませんが。

他にも色々なサインを見逃してたらすいません(エルを心配しすぎるくだりはちゃんと見てますよ)。

あと、前作で対立していたエルとマックスが仲良しになったこと自体は非常に微笑ましかったです

 

 

このパートでの個人的なMVPはウィルですね。

活躍はまったくしませんが、親友たちが成熟し、物事が変化していくことを受け入れられない彼の心境は痛いほどよくわかります。

そんな彼がボードゲームゲームマスターをやった時に、「ハイハイ、全部燃やして終了」みたいなことをしたマイクはちょっとひどすぎる。

頑張れウィル、多少変化しても友情はきっと続くぞ。

マレーみたいな大人もいるしな!!

さて、エルたちとマイクたちが合流した後、彼らはビリーをサウナに閉じ込め、マインド・フレイヤーが苦手とする高温を与え続けることで彼をテストしますが、

 

そんなもん普通の人でも死ぬわと思ってちょっと笑いました。

 

ナンシー、ジョナサン

ジョナサンと共に新聞社でインターンとして働くようになったナンシーは、横暴で無礼な上司たちに振り回されてウンザリしていました。

ナンシーは、価値を認めてもらうために本来の仕事ではない記者の真似事を始め、ジョナサンを伴って、化学肥料を食べるおかしなネズミを発見した老婆を取材します。

しかし、マインド・フレイヤーの手先と化した上司たちによってナンシーたちはクビになり、取材は打ち切られてしまいます。

後日、老婆自身がおかしくなり、肥料を口にしているところをジョナサンと共に目撃したナンシーは、去年ウィルに起きたことと同じことが起こっていることに勘付きます。

 

感想

インターン中の苦行はナンシーが本当にかわいそうでした。

女性を見下しまくる理不尽な上司たちのふるまいに心底腹が立ちました。

最低すぎてたまに若干コメディ入ってるんだけど、このケレン味も含めて本作の特徴ですね。

そして、母親に慰められて前を向き、自分の意志と知恵で真実を手繰り寄せていくナンシーがすごくかっこよかったです。

 

しかし、ジョナサン活躍しねええええ(笑)

 

怪物と戦った時も自分の身を守るのに精いっぱいだったし、脚にモンスターの欠片が入り込んだエルを助けようとした時も、結局エルが自分で治しちゃったし。

今回、彼の担当、ほぼアッシーじゃないですか

他にも活躍が少ないキャラクターが大勢いましたが、そこのバランスは大事だと思いますよ。

来シーズンに期待です。

 

ダスティン、スティーブ、ロビン、エリカ

ソルトレイクシティから帰ってきたダスティンは仲間たちに歓迎されますが、向こうで出会ったというスージーという彼女への無線が通じなかったことから、嘘をついていると思われてしまいます。

しかし、その時ロシア語の怪しい通信を傍受し、ダスティンはマイクたちではなくスティーブに謎の解明を手伝ってもらいにいきます。

ティーブはモールのアイス屋さんで働いていましたが、以前のようなモテっぷりはどこへやら、うだつが上がらない日々を送っていました。

ダスティン、スティーブ、そして同じくアイス屋で働くロビンが協力して頭をひねった結果、モールの下にソ連軍が潜伏していることがわかります。

彼らの基地を内側から開けるために、ダスティンたちはルーカスの妹のエリカに通気口から侵入してもらうよう頼みます。

 

感想

このパートが今シーズンのハイライトだと思います。

モールが今回のアイコンでありキーワードであることをふまえると、メインと言い切ってもいいかも。

前シーズンでもタッグを組んだダスティンとスティーブの凸凹コンビが微笑ましくて素晴らしい。

一緒に捜査しながらお互い恋愛相談したり、軽口を叩きあったりと、もう親友じゃん

諭すようなことを言おうとしつつも年下と同じ目線で付き合ってしまうスティーブは本当にいいキャラになりました。

初登場の聡明で大胆なロビンも、ついにレギュラーとして活躍の場を与えられたルーカスの妹・エリカも実に魅力的でした。

謎解きにワクワクしている大人のロビンと、見返りを求めて打算的に協力している子供のエリカが、知恵と行動力を出し合って先陣を切るのがかっこよかったです。

 

 

さて、今回の主役というかキーパーソンはダスティンだと僕は思います

ウィルほど変化に後ろ向きなわけではないが、マイクやルーカスほど仲間の繋がりにドライになったわけでもない、ちょうど中間のポジションにいるダスティン。

そんな彼が、クライマックスでスージーと共に『ネバーエンディング・ストーリー』のテーマを歌い上げるというモーメントは、「変わるものもあるが、変わらない(終わらない)ものもある」という答えを象徴していると僕は解釈しました。

 

結末(※ネタバレ注意!)

ネズミや人間を材料とした(恐らくマインド・フレイヤーが具現化したものと思われる)巨大なモンスターが暴れ回り、人類を滅ぼそうとしますが、それぞれの活躍によりゲートは再び閉じ、マインド・フレイヤーはこの世界から去ります。

しかし、失われたものも多く、自我を取り戻したビリーは怪物の攻撃からエルを守って死亡し、そしてホッパーも、ゲートを開ける装置の電源を落とした際の衝撃で消えてしまいます。

また、エルは何故か超能力を失ってしまいます。

ボブに続きホッパーも失ったジョイスは悲しい思い出の残るホーキンスを去ることを決意し、里親を亡くしたエルもジョイス一家についていきます。

かくして家族や仲間たちはバラバラになり、それぞれの道を歩むことになったのでした。

しかしホッパーについては、ポストクレジットでどうやら生きているらしいことが示唆されます。

 

感想

筋金入りの不良で嫌われ役でありつつも、家庭の問題がその根底にあることが語られていたビリー。

そのあたりが深く掘り下げられることは予想していましたが、手法がずいぶんとシビアでした。

 

 

今回、エルがビリーの心を読み取ることで、父からの暴力や母に捨てられた過去など、ビリーを今のビリーのようにしてしまった原因がより深く描かれました。

しかし、序盤でマインド・フレイヤーにとり憑かれてしまったビリーは、そのような問題を解決する余地も、性格や人間関係を改善・再構築する余地もほとんど与えられませんでした

だからこそ、最後の最後で自分の意志を取り戻し、エルを救った姿が美しかったわけですが、彼はそのまま命を落としてしまいました

つまり、まだまだ若いというのに、この物語においてはビリーはすでに「結果」だったわけです

切なすぎませんか?

ホッパーが消えたこともそれ以上に悲しかったです。

今回、特に口うるさかった彼ですが、ラストの勇姿と、エルに当てた手紙は泣けました。

ただ、クレジット後にソ連軍兵士が話していたところによると恐らく生存しているっぽいので、再登場を楽しみにします。

 

まとめ

かなり面白かったですが、やはり登場人物の出番・活躍のバランスの悪さがちょっと目立つ気がしました。

強引な展開も、以前からだし、それはそれで魅力でもあるんですが、今回はちょっと多かったかな?

もともとシーズン1で終わる予定だったので、そろそろ色々な兼ね合いが難しくなってきているのかもしれません。

それでも傑作であることは間違いないので、次作にも期待です!

 

評価:☆☆☆☆(5点満点)