『ゴッサム』シーズン1-7話感想|立ち並ぶ二羽の鳥
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シーズン1第7話『ペンギンの狡計』
あらすじ
オズワルド・コブルポットの生存が公になり、ゴードンの容疑は晴れるが、その事実はフィッシュの怒りを大いに買ってしまい……。
※この記事は2018年3月8日に旧ブログに投稿したエントリーの再掲です。
感想
前回のラストで、モントーヤとアレンに逮捕されそうなジムの前に現れ、自分が生きていることを警察に明かしたペンギン。
おかげでジムは逮捕を免れましたが、これはファルコンとの取引きを反故にしていたことが明るみになったということでもあり、当然、ジムは命を狙われることに……。
殺し屋として送り込まれたヴィクター・ザズーたちを見て思ったのは、側近二人の格好なんかすげえなってこと。
浮世離れしているというか変態っぽいというか……。
しかし、それでも致命的な違和感があるわけではなく、しっかりと画面に馴染んでしまう。
これがゴッサムという街の懐の深さなんでしょうか……元来、コスプレが似合う土地柄なんだね。
ペンギンの生存に怒り狂うフィッシュをよそに、ファルコンはいたって冷静。
金の卵を産むガチョウ、すなわち重要な情報を多く持つペンギンをめぐって再びマローニと一触即発になりますが、取引きで表向き和解します。
ついに汚職に立ち向かう覚悟を決めたハービーと共に乗り込んできたジムのことも、人質という手段を使って脅迫しながらも、結局、殺しませんでした。
ジムへの「本当の敵は無秩序だ」という言葉は、ファルコンの必要悪についての哲学を端的に表す名言であると共に、今後この街が変態ヴィランたちの巣窟になるフラグでもありますね。
なかなか味わい深いキャラクターです。
しかし、今回のMVPはもちろんペンギン。
まず、自分を殺そうとする男を守銭奴だと見抜き、彼の部下を買収することで返り討ちにするという手際がシンプルながらかっこいい。
そして、ラストで判明した、実は第1話のある時点でファルコンに命乞いをし、彼と結託していたという事実!
「人の信念を見抜く男」「人心掌握の達人」「希代の策士」それでいて「生への醜い執着と承認欲求の塊」。
今回はそんなペンギンの魅力がぎっちり詰まった、まさにペンギン回でした。
(不敵な笑み)
©Gotham/Primrose Hill Productions/DC Entertainment/Warner Bros. Television
嬉しかったのが、ペンギンがジムを生かしてくれるようファルコンに頼んでいたということ。
普通に見れば「利用価値があるから」というのがその最大の理由なんですが、恩義や友情もそこはかとなく感じていそうなのが微笑ましい。
またこれはつまり、ファルコンは別に私的に生かしておきたいほどの人間的価値をジムに見出していたわけではなかったということでもあります。
そういうシビアさがファルコンの怖さでもあり、やがて「効率的とは限らない美学」の時代が来る『バットマン』ワールドにおいて、徹底することのみに特化した前時代の悪人の限界でもあるのかも。
象徴的に「鳥」を飼いならしていたファルコンが、逆に飼われる日は近いです……。
評価:☆☆☆☆(5点満点)