闇に舞う裏シビル・ウォー!『デアデビル』シーズン2の見所を解説
『デアデビル』シーズン2の見所を紹介していこうと思います。
余談ですが、最近Netflixに問い合わせの電話をしたら、保留中のメロディが『デアデビル』のオープニング曲だったのにびっくりしました。
どうやらマイリストに追加されたオリジナル作品のテーマ曲をランダムに流してるっぽいです。
シーズン1についてはこちら↓
©Daredevil/Marvel Television/ABC Studios/Netflix
概要
『デアデビル』シーズン2は、ある意味一つの大事件です。
パニッシャー/フランク・キャッスルは、マーベルにおける「悪人を始末しきるヒーロー」の代表中の代表です。
抗争に巻き込まれて家族を失ったことから、犯罪者に対して絶対に慈悲を与えない孤高の処刑人と化した、極めて純度の高いダークヒーローなのです。
その強烈なキャラクターから、過去に三度映画化されているほど非常に人気が高いです。
『デアデビル』シーズン2では、そんな彼が単独タイトルに先駆けて登場し、「不殺」の信念を貫くデアデビルと対立します。
※この記事は2017年2月17日に旧ブログに投稿したエントリーの再掲です。
感想と見所
まず注目すべきは、本作がMCUとNetflix双方の特性の活かし方を完全に修めているという点です。
複数のタイトルの世界観共有を前提とした「MCU」、他のMCU作品では描けない過激な内容を存分に押し出すことができる「Netflix」。
『デアデビル』シーズン2は、この二つの長所を骨の髄まで貪った、欲張りエンターテイメントなのです。
極上の完成度を誇った『デアデビル』シーズン1に、単独でも十分すぎるカリスマを放つあのパニッシャーが、その魅力を最大限に引き出せる形で加わる。
企画の時点で勝ちです。
さて、そうはいっても本作の主役はあくまでデアデビル/マシュー・マードックです。
シーズン2では、彼の新たな変化と葛藤、そして決意がストーリーの中核をなします。
前シーズンでウィルソン・フィスクの魔の手からヘルズ・キッチンを死守したマシューは、相変わらず弁護士とクライムファイターの二足のわらじを履いて、街を守り続けています。
フィスクの投獄により微妙に勢力図が変わったヘルズ・キッチンですが、ある日、既存のギャングの脅威など目ではない衝撃がもたらされます。
フランク・キャッスルの登場です。
一個人で軍隊と見まごう兵力を有し、家族の死に関わった者を着実にパニッシュ(処罰)してゆくキャッスル。
マシューはこの新たな超危険人物と、弁護士として、そしてヒーローとして向かい合うこととなります。
肉体的に、同時に倫理的に、幾度も衝突する「殺さずのデアデビル」と「確実に命を奪うパニッシャー」。
彼らがやっていることは本当に違うのか?
ヒーローとは一なんなのか?
もう一つのシビル・ウォーとも言える重厚なドラマが錯綜する中、一つの仮説が浮かび上がってきます。
「デアデビルがこの状況を作ったのではないか」。
フランク・キャッスルの家族を奪い、彼を生き地獄へと突き落としたのはギャングたちだ。
彼を悪を裁く道へと駆り立てたのは彼自身だ。
だが、街をキャッスルのような人間が躍動する場所に変えてしまったのは、「ヘルズ・キッチンの悪魔」デアデビルの存在なのではないか?
組織犯罪による汚職と腐敗を匿名のヒーローが断ち切る代わりに、「信念で動く者」が闊歩する「前例」と「土壌」ができあがったのではないか?
この疑問が、序盤の重要なテーマとなります。
『デアデビル』シーズン2のマシュー・マードックは、自身の活動の結果と負の側面を思い知らされ、苦しむこととなるのです。
原作が似ていることもあって、なかなか『ダークナイト』に近いです。
ただし、「変化したゴッサム」に現れたジョーカーがどちらかというと概念的な要素を帯びていたのに対し、「変化したヘルズ・キッチン」に現れたパニッシャーは、極めて実際的な存在です。
彼の悪に容赦しない信念は、理解できるどころか大衆の同意を得るに足るものです。
つまりマシューは、「危険思想を宿す者を呼び寄せてしまったかもしれないという責任」と「それが実は危険思想ではないかもしれないという社会的論争」の両方に直面するのです。
そこへ泣きっ面に蜂とばかりに、さらなる問題が飛び込んできます。
マシューの元恋人にして暗殺者、エレクトラ・ナチオスです。
シーズン1でも目的が謎のまま登場した日本の忍者集団「ザ・ハンド(ヤミノテ)」の陰謀を阻むことを手伝ってくれとマシューに頼むエレクトラ。
エレクトラに関して苦い思い出があるマシューですが、彼女の隣で戦ううちに、内に秘めた「ヒーローを楽しむ感覚」が表に出てきたり、弁護士としての職務をおろそかにするようになったりして、「人間とヒーローの矛盾」にこれまでより強く葛藤するようになります。
マシューの親友でありデアデビルの正体を知ってもいるフォギー・ネルソンが、そんな心が弱り切ったマシューとすれ違うところも見所です。
パニッシャーとエレクトラ、本来単独の映画でメインを張るレベルの二人に挟まれ、大きく揺れ動く今回のデアデビル。
彼がどのような決意を固めるのかを見届けると共に、少しでも強い心を取り戻せるよう祈りましょう。
何故ならまだ、狂気のサイコパス・ブルズアイの登場が控えているのですから……。
評価:☆☆☆☆(5点満点)