『ストレンジャー・シングス』感想|ジュブナイル系の決定版!
もうすぐシーズン3が配信されるNetflixの目玉ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』について、作品の魅力などをまとめてみました。
『ストレンジャー・シングス 未知の世界』
©Stranger Things/21 Laps Entertainment/Monkey Massacre/Netflix
概要
NetflixオリジナルのSFドラマ。
80年代アメリカの田舎町を舞台に、不可解な超常現象に立ち向かう家族や少年少女たちを描く。
現在シーズン1~2が配信されており、2019年7月4日にシーズン3が配信予定。
あらすじ
1983年の秋、アメリカ・インディアナ州の田舎町ホーキンス。
12歳の少年ウィル・バイヤーズは、友達のマイク、ダスティン、ルーカスと遊んだ帰りに異形の怪物を目撃し、失踪してしまう。
ウィルの母・ジョイスと兄のジョナサン、町の警察署長のホッパー、そしてマイクたちの必死の捜索もむなしく、ウィルは見つからない。
一方、奇妙な実験が行われているホーキンス国立研究所からは、イレブンと名乗る一人の少女が逃げ出していた。
研究所の人間に追われるイレブンはマイクたちと出会ってかくまわれ、「エル」というあだ名を付けられる。
エルが超能力を持っていることを知ったマイクたちは、ウィルを探してくれるよう彼女に頼む。
その後も別の失踪事件が起こるホーキンス。
ホッパーは一連の事件に研究所が関与していることを疑うが、証拠が掴めない。
そのうちウィルの遺体が発見されるが、ジョイスはそれを認めず、自宅に起こる奇妙な現象がウィルからのメッセージであるという確信を強めていく。
また、ジョナサンと、第二の被害者・バーバラの友人でマイクの姉であるナンシーも、現場付近で撮った写真に怪物の顔を発見する。
研究所の追跡をかいくぐりながら、それぞれが真相を手繰り寄せていくが……。
登場人物
good morning 🙃
— Stranger Things (@Stranger_Things) 2019年7月4日
📸: Miller Mobley pic.twitter.com/eIzxEMhOAV
向かって左からイレブン(エル)、マイク、ウィル、ダスティン、マックス、ルーカス
シーズン1から
ジョイス・バイヤーズ
失踪した少年・ウィルの母親。
働きづめのシングルマザーで、ウィルのことを溺愛している。
ウィルの失踪が普通の事件ではないことに気がつき、ウィルからのメッセージと思わしき現象と交信を図る。
クレジット上はイレブンでもマイクでもなく彼女が主役。
ウィル・バイヤーズ
ボードゲームが大好きな12歳の少年。
友達と遊んだ帰りに消息を絶つ。
イレブン(エル)
強力な力で触れずに物を動かしたり遠くを見ることができる物静かな少女。
手首に「11」の焼き印があり、それが自分の名だという。
謎の実験を繰り返すホーキンス研究所から逃げ出し、マイクたちの元に身を寄せる。
マイク・ウィーラー
ウィルの友達。
ウィル、ダスティン、ルーカスの3人のオタク仲間といつも一緒につるんでおり、4人のリーダー格。
謎の存在であるイレブンに対して最も友好的で、ウィルの捜索のために力を借りる。
ダスティン・ヘンダーソン
ウィルの友達。
お調子者。
骨異形成症とそれに伴う構音障害を患っている。
ルーカス・シンクレア
ウィルの友達。
4人の中では最もリアリストで、はじめはイレブンのことを受け入れなかった。
ジム・ホッパー
ホーキンス警察署の署長。
ジョイスの同窓生。
最初はウィルの失踪をすぐに解決する案件と捉えていたが、徐々に町の異変と研究所による陰謀を察知し、精力的な捜査を開始する。
ジョナサン・バイヤーズ
ジョイスの長男でウィルの兄。
家族思いの優しい青年だが、ウィルの失踪に対する母親の突飛な推理に対しては、現実を受け入れられないからだと考えている。
ナンシー・ウィーラー
マイクの姉。
優等生だが、やんちゃなスティーブと付き合っている。
スティーブに誘われたパーティで、親友のバーバラ・ホランドが失踪してしまい、ジョナサンと共に真相を究明しようとする。
スティーブ・ハリントン
ナンシーの彼氏。
プレイボーイで、攻撃的な面もあるが根っからの不良ではない。
ナンシーとジョナサンの仲を疑っている。
シーズン2から
©Stranger Things/21 Laps Entertainment/Monkey Massacre/Netflix
マックス・メイフィールド
マイクたちのクラスに転校してきた女の子。
ダスティンがライバル視しているゲームセンターの記録保持者の正体。
マイクからはエルを引き合いに出されて排他的な態度をとられるが、ルーカスと仲良くなる。
ビリー・メイフィールド
マックスの兄。
スティーブ以上の不良で、おとなしくなってきたスティーブのポストに収まる。
妹を虐め、ルーカスを差別する。
ボブ・ニュービー
ジョイス、ホッパーの同窓生で、ジョイスと恋仲になる。
ウィルとも趣味が合う。
サム・オーウェンス
ホーキンス研究所の研究員。
研究所の人間にしてはめずらしくホッパーに協力的。
マレー・バウマン
ホーキンスでの怪事件を追う、元ジャーナリストの陰謀論者。
見所と感想
全然怖くない
SFホラーと銘打たれ、イメージやサムネイルも不気味なものが多い本作ですが、怖さは大してありません。
おぞましいモンスターが登場したり、多少バイオレンスなシーンが含まれたりしますが、中学生くらいなら耐えられる範疇です。
また、研究所の非人道的な実験についても直接的な描写がないので悲惨さは最小限に抑えられています。
逆に、そういう作品を求めている人にとっては少し物足りないかもしれません。
ノスタルジックな王道
ではどういう作品なのかというと、SF、ホラー、ミステリー、スリラー、サスペンス、ヒューマンドラマの要素をミックスしたエンターテイメント作品といえると思います。
『E.T.』『グーニーズ』のような子供を主役とした冒険活劇を、『スタンド・バイ・ミー』のような「かつて子供だった者向け作品」の視点で包み込み、そこに『X-ファイル』を掛け合わせたような感じです。
比較的最近の映画『SUPER8/スーパーエイト』に設定やコンセプトは酷似していますが、少し意地悪な言い方をするとアレのさらに面白い版です。
子供の頃漠然と抱いていた非日常への憧れ、ファンタジーや陰謀論、そして一緒に冒険する仲間たち。
本作は、不可解な現象や謎が謎を呼ぶ展開を追いながら、そんな夢を叶えることができる、ノスタルジックな王道アドベンチャーの集大成です。
また、80年代の映画や音楽のオマージュも満載で、その年代に青春を生きた人たちはさらに楽しめると思います。
共感しやすいキャラクターたち
多くの映画・ドラマ・アニメ・コミックがそうであるように、本作の主役の子供たちはギーク/ナード系。
マイクたち四人衆はボードゲームに熱狂するオタクで、学校ではいじめっ子に言いがかりをつけられてからまれています。
ジョナサンもわりとそっち系。
モテモテのプレイボーイやスポーツマンよりもよっぽど共感できますよね。
かといって、シーズン1ではまさにそういうポジションにいるスティーブも筋が通っていたり可愛げがあったりしますし、シーズン2で登場するビリーも、スティーブの比にならないワルでありながら家庭環境に問題があるバックグランドが語られていたりします。
そういうていねいで懐の深い人物像の掘り下げが作品の質をより高め、また、状況しだいでは立場の違う者たちが仲間になれるというある種のロマンも叶えています。
イレブン役の演技が上手い!
ジョイス役のウィノナ・ライダー、ホッパー役のデヴィッド・ハーパーなど素晴らしい役者さんが多く出演している本作ですが、イレブン(エル)役の子役・ミリー・ボビー・ブラウンの演技が特に秀逸です。
家族のいない孤独、静かなる怒り、マイクへの好意が、しかめっ面からじんわりと染み出ています。
しかし、素のミリー氏はイレブンとは対照的に明るくてお喋りな一面を覗かせているので驚きます。
プロフェッショナルですねえ。
彼女の素は、同じくNetflix配信の『ストレンジャー・シングス 大解剖』で見ることができます。
キャストと制作人が対談して裏話などを語っており、こちらも必見です。
評価:☆☆☆☆☆(5点満点、シーズン1~2総合)
シーズン3についてはこちら↓