スパイダーマンMCU離脱?ソニーとマーベルの長所比較と契約
いやはや、とんでもないことになりましたね。
まだ確定ではありませんが、スパイダーマンが再びMCUから離れる日がこんなに早く来るとは……。
まさに青天の霹靂。
ショックすぎ。
でもあきらめちゃいないぞ!
とりあえずこの記事では、今後の『スパイダーマン』シリーズがマーベルで製作された場合とソニー(コロンビア)で製作された場合の、それぞれの長所について語ってみようと思います。
スパイダーマンに一体何が起こっているのか、現状についても解説します。
©Spider-Man:Homecomig/Columbia Pictures/Marvel Studios/Pascal Pictures
契約・権利関係と現状のおさらい
マーベル・コミックスは、不況時代にいくつかのキャラクターの映像化の権利を他社に売却した過去があります。
売却時の契約のほとんどは、権利を保有する会社が一定期間内にそのキャラクターを映像化し続けなければ、自然とマーベルに権利が戻るというものだったようですが、『スパイダーマン』『X-メン』『ファンタスティック・フォー』といったビッグ・タイトルについては断続的に映画化され続けてきたため、権利が返還されないという状態が続いてきました。
故に、マーベル自身のスタジオであるマーベル・スタジオが製作した作品の共有世界、いわゆるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)には、登場させられるキャラクターに制限がありました。
そこで、マーベルはスパイダーマンの権利を持つソニー・ピクチャーズと交渉し、「事業提携」「レンタル」という形で、「ソニーの配給により、『スパイダーマン』の新シリーズをMCUの作品として製作・公開でき、かつ他のMCU作品にもスパイダーマンを登場させられる」という許可を取り付けました。
「アベンジャーズとスパイダーマンが同時に存在する世界」を映画化するという夢をついに実現させたわけです。
また、件の『スパイダーマン』単独タイトルの売り上げについては、一部がマーベル及び親会社のディズニーに入ることになりました。
※以下は各ニュースサイトが報じた情報に基づきますが確定的な情報ではありません。
噂によると、その提携契約の更新の折に、ディズニーが売り上げの取り分を大幅に上げることをソニーに要求し、結果、交渉が決裂。
それを受けて、スパイダーマンが再びMCUから離脱し、以降の続編はソニー(コロンビア)だけで作られるかもしれないという不安と懸念が世界中を飛び交っています。
しかしソニーは、ディズニー側の提案により、マーベル・スタジオ社長のケビン・ファイギが直接プロデュースしなくなるだけとしています。
一方で、当のファイギや現スパイダーマン役のトム・ホランドは、スパイダーマンのMCU卒業を仄めかすようなコメントをしています。
また、どちらも資金面の対立については否定も肯定もしていません。
もう何がなんだか……。
(ちなみにX-メンとファンタスティック・フォーについては、先日ディズニーがFOXを買収したことによって事実上マーベルに権利が戻ってきました。)
さて、ではそもそもマーベル版とソニー版のスパイダーマンでは、ファンにとってそれぞれどのような長所と短所があるのでしょうか。
マーベル版の長所(ソニー版の短所)
1.他のヒーローたちと共演できる
なんといってもこれが最大の魅力です。
ちょっと前まで叶わぬ夢でしかなかった、アベンジャーズとスパイダーマンの共演。
しかも単なるお祭りイベントではなく、それぞれのドラマが密接に絡み合うケミストリー。
そこには何事にも代えがたい価値があります。
『シビル・ウォー』『ホームカミング』『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』『ファー・フロム・ホーム』では、アイアンマン/トニー・スタークとスパイダーマン/ピーター・パーカーの師弟、もしくは親子のような関係が描かれ、双方のファンの心を掴みました。
また、スパイダーマンと他のヒーローたちが背中を合わせて戦う姿も、長年孤独な彼を見守ってきたファンにとっては感慨深いものがありました。
こういったMCUの醍醐味ともいえる素晴らしい瞬間を二度と味わうことができないとしたら、あまりにも寂しいものがあります。
©Spider-Man:Homecomig/Columbia Pictures/Marvel Studios/Pascal Pictures
2.これまでの流れを活かせる
仮にスパイダーマンがMCUを離れるとしても、次回作は再びトム・ホランドが主演を務め、ストーリーも前作の続編となるようです。
しかし、その世界ではトニー・スタークについて触れられることも、アイアンマンが彼に遺したテクノロジーが登場することも、恐らくないでしょう。
ピーターと他のヒーローたちの絆や冒険は、「暗黙の了解」としてのみ機能することになるのです。
これもまた悲しすぎますし、単純に違和感もすごいと思います。
これまでの流れを100%活かすのなら、今後もスパイダーマンはMCUで活躍する必要があります。
3.作品の質が保証される
翻訳家の光岡三ツ子氏もラジオなどで何度か言及していましたが、マーベルはマーベルについて知り尽くしており、キャラクターの魅せ方やノウハウを熟知しています。
ソニー(コロンビア)のサム・ライミ監督版『スパイダーマン』シリーズは最高でしたし、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズも世間で言われているよりは秀作だと思いますが、安定感という意味では、やはりマーベルがスパイダーマンを扱った方が確実に良質な作品ができあがると思われます。
ソニー版の長所(マーベル版の短所)
1.独自の物語を掘り下げられる
MCU版スパイダーマンは、MCU全体の緻密な世界観や設定に矛盾を生じさせるわけにはいかないため、非常に制約が多いです。
また、自由なタイムスキップを使いづらいので、長い目で「人生」を描くことが難しいです。
サム・ライミ版『スパイダーマン』が、三部作でピーター・パーカーの青年期をある程度の区切りまで描いたのに対し、MCUのスパイダーマンはすでに5つの作品に登場しているのにも関わらずまだまだ子供です。
この先、シリーズを何本も作ってくれるというのなら構いませんが、もし次作で単独タイトルが完結するとなれば、人生という観点においては非常に物足りないまま幕が閉じることになりかねません。
またMCU版には、他のヒーローたちとがっつり共演することによって、ピーター個人のドラマが若干薄味になってしまうという欠点もやはりあると思います。
ソニー(コロンビア)版であれば、これらの問題は一気に解決されることになります。
©Spider-Man/Columbia Pictures/Marvel Enterprises/Laura Ziskin Productions
2.ヴェノムと共演できる
ソニーはソニーで独自のユニバースを作ろうとしており、その1作が『ヴェノム』です。
ソニーが再び自由にスパイダーマンを扱えるようになれば、ソニー・ユニバース版のヴェノムとスパイダーマンの共演が可能となり、『スパイダーマン3』の時とは異なる二人の共闘が見られることになります。
©Venom/Columbia Pictures/Marvel Entertainment/Tencent Pictures/Arad Productions/Matt Tolmach Productions
3.実写版『スパイダーバース』ができる
各バージョンのスパイダーマンが終結する『スパイダーバース』も、ソニーが主導となれば、先日のアニメ映画化に続いて実写映画化が可能なはずです。
トビー・マグワイアが演じるスパイダーマンや、アンドリュー・ガーフィールドが演じるスパイダーマンが、トム・ホランドのスパイダーマンと共演するという濃すぎる絵面も見ることができるかもしれません。
©Spider-Man:Into the Spider-Verse/Columbia Pictures/Sony Pictures Animation/Marvel Entertainment/Arad Productions/Lord Miller Productions/Pascal Pictures
ぬぐえぬ違和感
結論からいうと、僕はスパイダーマンはMCUに残るべきだと考えています。
しかし、それ以上に気になっているのが今回の騒動自体の真相です。
なんか色々と違和感があるんですよ。
そもそも最初の提携の内容からして、
スパイダーマンをMCU入りさせたい
→だったら「いくらか払って」せめて借りられるようにしよう
という風に話がまとまっていてもおかしくないと思うんですよ。
登場させられること自体に意味があるし、スパイダーマンがゲスト出演する映画の売り上げについてはまるまる懐に入るんだから、それでメリットは十分のはず。
にも関わらず、逆に売り上げを分けてもらっておいて、さらに大幅な値上げを吹っ掛けるという発想になる意味がわからない。
しかも親会社で、キャラクター自体の版権収入等で莫大な利益を得ているディズニーが。
僕が人間の欲深さを甘く見てるだけ?
また、ソニーの「相手側の提案によりファイギが離れるだけ」という主張と、MCU離脱を濃厚とする各所の報道やコメントがここまで食い違っている現状も理解するのが難しい……。
そして、もし資金面での対立によってスパイダーマンが離脱するのなら、ディズニーはそれを防ぐために、取り分を上げろという要求を撤回すればいいだけのはず。
それをしないのは何故だろう?
言うほどMCUが大事ではないのか?
撤回しても意味がないくらいの感情的もつれがすでに両社間にあるのか?
それともこれからまた交渉するのか?
そもそも一連の報道はどこまで真実なんだ?
謎は深まるばかりです……。
※追記:なんかまた交渉始まったみたいですよ!